お祝いの贈りものとして欠かせないプレゼントの一つである切り花。お花の定期便が流行っているように、自宅のインテリアとしても人気が高まっています。ただ、お花の飾り方などは誰かから学んだりすることはあまりないことから、お正しいお手入れ方法が分からず、すぐに枯らしてしまった経験があると思います。そこで今回は一般的に切り花を長持ちさせるお手入れ方法をご紹介します。
まず切り花を長持ちさせるためにまず知っておきたいこと
切り花を長持ちをさせる方法をお伝えする前に、切り花が元気な状態を維持する上で何が重要なのか知っておきましょう。仮にお手入れ方法を知っていたとして、それが何にとって良いのかを理解していなければ、お手入れが後手に回ってしまうでしょう。
まずは以下の2つのポイントを把握しましょう。
花瓶の水を清潔にすること
花瓶の水は切り花の生命線といっても過言ではありません。どんなに新鮮な切り花を購入しても、生けた水の鮮度が悪いと切り花は弱ってしまいます。清潔なお水とは具体的にバクテリアが発生してないお水を指し、切り花にとってバクテリアは大敵。同じ水にお花を生けていると、バクテリアはどんどん増殖していきます。日々生活していく中で、常に新鮮な状態を保つのは難しいですが、切り花を楽しむ際にはお水の鮮度を良くすることは心掛けましょう。
切り口や導管の鮮度を保つこと
続いて、切り口や導管の鮮度を保つことを意識しましょう。お水をどんなに清潔にしても、そのお水を吸い上げる部位の状態が悪いとお花や蕾、葉にお水を届けることができなくなってしまいます。お水は切り口から侵入し、水の通り道である導管を通って、全体に行き渡ります。大敵であるバクテリアは切り口や導管を繊維を傷つけ、導管を詰まらせるネガティブな働きをします。お水の状態を維持することと併せて、切り口や導管の鮮度を保つようにしましょう。具体的にお手入れ方法は後ほど、ご紹介します。
切り花を生ける前の下準備をしよう
切り花を購入した後、ラッピングを外して、そのまま生けている方も多いと思います。お花屋さんから持ち帰ってたお花は数時間お水に浸かっていない等、長持ちするための最適な状態にはなっていません。まずは、生ける前に下処理を行いましょう。下準備のためのお手入れ方法を5つご紹介していきます。
清潔な花瓶を用意する
水の状態を良くするために、花瓶は清潔なものを用意しましょう。この時点で花瓶が汚れていると、入れた水の状態まで傷んでしまいます。食器用洗剤で中までしっかり洗ったものを準備しましょう。
不要な葉を取り除く
切り花の種類にもよりますが、葉が付いている状態で出回るものもあります。葉が付いた状態のままだと、葉から水分を水蒸気として放出する「蒸散」によって吸い上げたお水が外に逃げてしまうため、不要な葉は取り除きましょう。例えば、キク(菊)は比較的葉が多く付いていますね。
丸裸になってしまうと寂しい見た目になってしまうため、適度に整理しましょう。
水に浸かる葉を取り除く
整理した葉が水に浸かってしまうのはNG。水に浸かった葉は傷みやすくなり、バクテリアの増殖を促してしまいます。葉がびっしり付いているセルリアやワックスフラワーなどの切り花はしっかり処理を行いましょう。
切り口をカットし、新鮮にする
その次に切り口をカットし、新鮮な状態にしましょう。少々手間ですが、カットする部分を水に浸した状態で切ることで導管へ空気の侵入を防ぎ、水の吸い上げが良くなります。水が下がりやすいお花や購入してから行けるまで時間がかかってしまった場合は水の中でカットする「水切り」を行いましょう。
また、カットの仕方について、一般的には切り口を斜めにカットすると断面積が広がり、お水の吸い上げが良くなります。ただ、お花によってはお水を吸いすぎてしまい、返って傷みやすくなってしまう場合もあります。枝物の場合は切り口を十字に切って割ってあげると水の吸い上げがよくなります。
お花の種類によって向き、不向きがありますので、調べてからカットするようにしましょう。
カットする際、切れ味のよいキレイなハサミを用意しましょう。ハサミの刃が汚れていると、切り口の鮮度が落ちてしまいます。
新聞紙を巻き、底が深いバケツに浸す
最後に、カットした切り花をすっぽり覆われるくらいの新聞紙で巻き、水に浸しましょう。新聞紙を巻くことで蒸散を防ぐことができます。また、バケツの水も深めにすることで水圧でより吸い上げやすくなります。お花は水を吸い上げるのにだいたい数時間から半日程度かかるので、花瓶に生ける前にしっかりお水を吸わせる「水揚げ」作業を行えると安心です!
切り花を長持ちさせるお手入れ方法は?
切り花を飾り始めたら、基本的には毎日切り花の状態を見ていくようにしましょう。続いて、切り花を長持ちさせる日々のお手入れ方法をご紹介します。
輪ゴムや麻紐は外す
お花屋さんで束ねる時に使用した輪ゴムや麻ひもをつけたまま生けていませんか?お花同士が密集した状態になると蒸れてしまい、茎が傷みやすくなります。そうすると水が汚れて悪循環になってしまうため、花束で購入しても輪ゴムや麻紐は外した状態で生けるようにしましょう。
エアコンの風が直接当たる場所は避ける
まず、置き場所について、エアコンの風が直接当たる場所は避けましょう。夏は冷房、冬は暖房を付けますが、風が直接当たってしまうと切り花が乾燥してしまい、水分が抜けてしまいます。あくまでも直接当たることを避けるべきで、エアコンをつけたお部屋に飾ることは問題ありません。
直射日光は避ける
続いて、窓際の直射日光が当たる場所も避けましょう。切り花の敵であるバクテリアは高い温度を好み、水温が上昇するとより増殖しやすくなります。直射日光が当たると、水温が上昇してしまうため、風通しの良い日陰に飾るようにしましょう。
冬よりも夏の方が切り花は日持ちしないと言われますが、同じ理由で夏の方がバクテリアが発生しやすい時期だからですね。
夏場は毎日水換えをする
冒頭ご紹介した通り、切り花にとってお水は命ですので、水換えはこまめに行いましょう。水換えの頻度としてはバクテリアが発生しやすい夏場は毎日、冬場は2日〜3日に1回が適切。水を替えることお水を放置してしまうと、腐敗したり、臭いが強くなりますので、手間がかかりますが、気遣いをしましょう。
切り戻しをする
しばらく生けると、切り口が茶色に変色したり、茎にぬめりが付きます。これはバクテリアによって傷んでいる証拠のため、生ける前の下準備で行ったように切り口をカットして新鮮な状態にしましょう。この行為を「切り戻し」と呼びます。
切り戻しは切り花を長持ちさせる上で重要なお手入れです。生ける前には切り戻しをする前提で、ある程度長さを残した状態で生けましょう。
咲き終えたお花や枯れた葉は取り除く
咲き終えたお花や枯れてしまった葉は先に摘み取るようにしましょう。水分を全体に行き渡るようにするため、咲き終えたお花や枯れてしまった葉を残すと不要な箇所にエネルギーを使ってしまい、効率が悪くなってしまいます。例えば、ユリの花は蕾が複数ついていて、順番に咲いたりしますね。
また、状態が悪くなってしまったお花は「エチレンガス」と呼ばれる老化ホルモンを発生します。これは他のお花にもネガティブな影響を与えるため、状態が悪いお花や葉っぱは早めに取り除くようにしましょう。
お水の量はお花によって変えよう
迷われることが多いのが花瓶の水の量。結論から言うと、適切な水の量はお花によってことなるのでお花に合わせて水量を変えましょう。
理由はお花によって様々ですが、例は以下の通りです。
・バラは茎が硬く水が吸い上げにくいため、深めに生けた方が良い
・ひまわりは産毛が生えていて水量が多いとバクテリアが発生しやすくなるため、浅めに生けた方がよい
・ガーベラは茎が腐りやすいので、浅めに生けた方がよい
そのため、お花によって適量は異なるため、調べてから生けましょう。
お花を購入する時に、適切なお水の量をお花屋さんで聞いてみましょう!
切り花の元気がない時に行いたいお手入れ
しっかりお手入れしていたのに花首が曲がってしまったり、しおれてしまうことがあると思います。そんな時はだいたい水が下がっている(水が不足している)状態です。お水を吸わせやすい環境を作って、お花が元気になるようなお手入れをしましょう。王道の3つのテクニックをご紹介します。
茎を短くする
切り花の元気がない時に行いたいお手入れで一番優先したいのが「短くすること」です。切り花は背丈が高いほどその分必要な水の量、エネルギー量が多くなります。短くすればお水が行き渡りやすくなるため、背丈に余裕がある場合は思い切って短くし、小さめの花瓶に生け替えましょう。
水切りをする
下準備でもご紹介した、水切りも行いましょう。水切りを行うことで、水をしっかり吸い上げ、不足した水分を補給しましょう。
湯上げをする
それでも元気にならない場合は「湯上げ」を行いましょう。湯上げは沸騰したお湯に切り口を数秒つけて、切り口のバクテリアを死滅させ、お水の吸い上げを良くする方法です。湯上げを行う場合は以下の点を押さえましょう。
①湯上げが向いているお花かどうか調べる
②新聞紙等でお花を巻き、蒸発した熱い水蒸気が直接触れないようにする
③切り口をお湯に付けた後、速やかにお水に付ける
湯上げが向いているお花の例としてはキク科のお花などです。お花によってはライターやコンロの火で直接炙ることあります。
以上のお手入れをすることでシャキッと復活することが期待できます。
花瓶の水の鮮度を保つアイテム
続いては、お水の鮮度を保つアイテムとしてお水に入れると切り花が長持ちすると言われているものがあります。家庭で用意できるものもあり、気軽に試せるものもあります。早速見ていきましょう。
切り花延命剤
お花屋さんで切り花を購入すると小さなビニールに入った切花延命剤がもらえます。切り花延命剤には①綺麗な状態を維持するためグルーコスなどの栄養剤、②バクテリアの発生を抑制する抗菌剤・殺菌剤、③お花にエネルギーを補給するためのブドウ糖などの糖類、④お水の吸い上げを良くする界面活性剤が含まれています。お花の鮮度を維持するために必要な要素がたくさん入っているので、水換えのタイミングで入れましょう。
切花延命剤はホームセンターやスーパー等でボトルのものも購入することもできます!
塩素系漂白剤
ハイターなどの塩素系漂白剤は殺菌作用があります。花瓶の中のお水にほんの少し入れることでバクテリアの発生を抑制して、水の状態を維持できます。切り花延命剤がない場合は試してみましょう。
砂糖
切り花延命剤に含まれている糖類を補給するために砂糖を入れることもおすすめです。入れる量はだいたいお水100mlに対して、小さじ半分ほどの砂糖を溶かすとよいでしょう。ただ、砂糖には殺菌作用はなく、バクテリアにとっても栄養になるので、切り花延命剤がない場合に使用しましょう。
お酢
お酢も殺菌作用があります。お酢の場合は花瓶の水に少量滴たらす他に、切り口を直接付ける方法も効果的です。だいたい、30秒~1分程度つけると切り口付近のバクテリアを死滅させる効果があるため、是非試してみてください。
10円玉
10円玉の主成分である銅は水に浸けると微量の銅イオンが溶け出します。この銅イオンは殺菌作用があり、塩素系漂白剤やお酢と同じように水の鮮度を維持する働きがあります。ただ、効果はずっと続くわけではないので、応急措置的なイメージで入れましょう。
炭酸水(サイダー)
お水の代わりに炭酸水(サイダー)を入れることも効果的です。サイダーには甘い糖分が含まれているのでお花が栄養を吸収できます。先ほどご紹介した砂糖を溶かす方法よりもサイダーの方が糖分の粒子が細かく、効果は高いです。無糖の炭酸水には効果はなく、有色の炭酸飲料は他の成分によってお花をダメにしてしまうため、避けましょう。
氷
水温を下げるために、夏に氷を入れることも効果があります。ただ、氷が直接植物に当たってしまうと茎が凍ってしまったりな、時間が経過すると氷が溶けて水温が元に戻ってしまうので、気休め程度のお手入れだと思いましょう。
お花の種類別の適切な水の量をご紹介
ご紹介した通り、お花によって適切な花瓶の水の量は異なります。一例となりますが、飾ることの多いお花の適切な水の量をご紹介します。
浅めに生けた方がよいお花
まずは水の量が少なめでよいお花です。これらのお花は水量は2cm〜3cm程度にしましょう。
お花の種類 | 理由 | お手入れ方法リンク | |
① | ひまわり | 産毛で水が汚れやすいため | ひまわりの切り花のお手入れ方法 |
② | ガーベラ | 茎が腐りやすいため | ガーベラの切り花のお手入れ方法 |
③ | チューリップ | 水の吸収が早く開花が進むため | チューリップの切り花のお手入れ方法 |
④ | カラー | 茎が腐りやすいため | カラーの切り花のお手入れ方法 |
深めに生けた方がよいお花
続いて、深めに生けた方が良いお花です。これからのお花は5cm〜が目安です。
お花の種類 | 理由 | お手入れ方法リンク | |
① | バラ | 茎が硬く、水を深くして吸い上げやすくするため | バラの切り花のお手入れ方法 |
② | アジサイ | 水が下がりやすい(水が守則しやすい)ため | アジサイの切り花のお手入れ方法 |
③ | カスミソウ | 茎が細く、吸い上げを良くするため | カスミソウの切り花のお手入れ方法 |
このように適した水量はお花によってさまざまなので、お花を購入したタイミングで調べてください。長年お花を飾っていると自然と覚えてくると思います。
新鮮なお花を購入して、長く楽しもう!
ここまで切り花を長持ちさせる方法をご紹介していきました。ご紹介したお手入れを細かく実施して、是非長持ちしてもらいたいと思いますが、切り花を長持ちさせる上でまず大切なのが「鮮度の良い」お花を購入すること。どんなに細かくお手入れしても、咲き進んでいるものや元気がないものを選んでしまっていたら、長く楽しむことは難しいです。お花選びの時点からから長持ちさせるお手入れは始まっていますので、是非鮮度の良いお花を選んでください
また、長く楽しむという意味ではドライフラワーにするものおすすめです!ドライフラワーは生花とは違った魅力があり、インテリアとしても人気の楽しみ方です。咲き始めのお花を選ぶとドライフラワーとして綺麗に仕上がりますので、是非試してみてください。