大切な方が事故や病気などの療養で入院している時、相手を労るために行うお見舞い。お見舞いではご本人が病院での生活を充実させられるよう、お見舞いの品を持っていくことが一般的です。中でもお見舞いの品物として美しいお花を贈りたいと考える方は多く、お花は人をリラックスさせたり、非常に喜ばれます。ただ、お見舞いのお花を贈る際は、相手の状況を気遣う必要があります。本記事ではお見舞いや退院祝いを送る場合のマナーやタブー(避けたい)お花、人気のお花の種類、相場についてご紹介します。
お見舞いの花を贈る場合のマナー
お見舞いのお花を購入する前に本当にお花を贈ってもよいのかを把握しておきましょう。最初にお見舞いのお花を送る際、抑えておくべきマナーについてご紹介します。
お花を持ち込みできるか確認する
お花を購入する前に病室にお花を持ち込めるか確認しましょう。お花には花粉や香りがあるものが多く、これらはアレルギーの発生の原因になることもあります。また、お花に細菌や微生物などが付着している可能性もあり、感染症を引き起こすリスクもあります。病院によっては衛生面を考慮して持ち込み不可としているところもあるため、事前に病院に電話などで確認するようにしましょう。
お手入れなどの負担を考慮する
お見舞いのお花を贈った後は受け取り手の方がお手入れすることになります。ご体調や病状によってはこまめにお手入れできないことやお手入れすることを負担に感じてしまうことも想定されるため、極力お手入れの負担が少ないものを選ぶと親切です。
コロナ渦でより制限がされるケースが増えている
先ほどご紹介した通り、お花の持ち込み可否は病院によって対応が分かれています。コロナ渦になってから病院内では感染リスクを減らすことが徹底し、人の動きが制限されています。そうするとお花のお手入れも行き渡りづらくなり不衛生になってしまい、コロナ渦以前より持ち込み制限が厳しくなっています。とはいえ、お花は患者を元気付けるアイテムとして非常に人気があり、お花の贈り物を制限していてもギフトスタイルによって受け付けてもらえる場合があるため、贈ることができるギフトの形態も確認しておくと安心です。
お見舞いでタブー(ダメな)お花
お見舞いのお花にはタブーとされているものがあります。お相手の方の志向や状況によっては受け入れられることはありますが、一般的に知られているタブーは把握しておきましょう。
鉢植え
鉢植えは根が付いており、「根付く」→「寝付く」と連想させるため、タブーとされています。贈り手としては相手を気遣い、水替えや花瓶の洗浄の手間がかからない鉢植えを選びたくなりますが、受け手によってはネガティブに捉えられることがあります。
赤い花
赤い花は「血」を連想させるため、避けましょう。大きな怪我をされた方や手術を経験した方、またご家族の方にとって、赤いお花は辛い経験を思い出させてしまう可能性があります。赤色以外にも色の主張が強いお花も刺激が強いため、避けた方がよいとされています。
白・青・紫を基調としたもの
アレンジメントや花束などで、全体の色合いが白・青・紫がベースとなっているものは避けましょう。この色合いは日本では「お供えの花色」として認識されています。亡くなった方に対して送ることが多い組み合わせのため、お見舞いの花として送るのは避けましょう。
菊の花
菊の花は「お供え花」として広く認識されているので、ネガティブに捉えられる可能性があります。本来、菊の花はおめでたい時に飾られるお花で、近年ではおしゃれな品種も増えて、結婚式などでも飾られます。お供えを連想させない洋菊の種類については送っても問題無いとされていますが、お供えの定番として認識されている「輪菊」、「小菊」は避けましょう。
シクラメン
シクラメンは鉢植えとして出回ることが多いのでそもそも贈りづらいお花ですが、名前に「死(シ)」や「苦(ク)」が含まれており、ネガティブなことを連想するため、避けましょう。
アジサイ(紫陽花)
アジサイは初夏の時期に非常に人気で、多くの方に愛されているお花ですが、タブーとされています。アジサイは色が変化するお花で日が経過すると色が褪せて緑やシックな色味に変化するので、「色が褪せていく」=「縁起が悪い」とされています。
下向きの花
個性的でかわいらしい雰囲気の下向きに咲くお花ですが、「下向き」→「元気がない」とされるので避けましょう。例えば、グリーンベルやサンダーソニア、スズランなどです。その他、下向きではないですが、お花の重みで茎が垂れやすいスカビオサなどのお花も控えましょう。
散りやすい花
「花弁が散る」=「命が散る」と連想されることから散りやすいお花はNGとされています。例えば椿やチューリップは花弁が散りやすいお花です。明確にこのお花がタブーという線引きがなく、曖昧なので、お花屋さんの店員に確認するとよいでしょう。
香りが強い花
ユリやフリージアなどの香りが強いお花も避けましょう。香りの強いお花は相手によっては気分が悪くなったり、体調を悪くしてしまう可能性があります。また個室ではなく、相部屋の場合、他の患者さんにも迷惑をかけてしまう可能性があるので、香りが強いものは避けましょう。
おすすめのお見舞いの花
ここまでタブーのお花をご紹介してきましたが、具体的にどのようなお花を選べばよいのでしょうか。ここではお見舞いのお花として定番のお花の種類とお勧めのギフトスタイル、お勧めの色をご紹介します。
ガーベラ
ガーベラは「ザ・お花」という花姿で、どこのお花屋さんでいつでも手に入るお花の一つです。元気に咲く姿は非常に明るく元気にさせてくれます。色によって花言葉が変わりますが、全般的にポジティブな意味が多く、前向きなメッセージ性を込めることもできます。
カーネーション
母の日の定番であるカーネーションも非常に知名度が高く、喜ばれるお花です。カラーバリエーションも豊富で、こちらもお見舞いのお花の定番です。
バラ
メインとしてバラを選ぶのも定番で、手に入りやすいお花の一つです。華やかなので、メインとして非常に人気であり、咲き方も様々で愛らしく、何より普段お花を飾ることがない方でも馴染みがあるお花です。
カスミソウ(かすみ草)
カスミソウはサブの花材として非常に重宝されます。小ぶりなお花が広がって咲くため、アレンジメントで隙間を埋めるのによく使用され、多くの方に認知されています。分量が多いと独特な香りが強くなるため、使用するのは適量にしましょう。
スターチス
スターチスは日持ちが非常に良いお花で、お手入れをあまりしなくても、長く楽しむことができるお花です。オールシーズン出回っているので、他の種類同様、手に入れやすいお花です。
トルコキキョウ
トルコキキョウは上品な雰囲気のお花で、日持ちが良いお花です。落ち着いた雰囲気でカラーバリエーションも豊富なことから、使われるシーンが多いです。他のお花と比較して値段は少し高めです。
ヒペリカム
ヒペリカムは赤、ピンクや白の実がかわいい実物です。アクセントとしても重宝され、オールシーズン出回っているので、実ものを選ぶ際にはヒペリカムをお勧めします。
プリザーブドフラワーやアレンジメント
お見舞いのお花のギフトスタイルとしてはプリザーブドフラワーやアレンジメントおすすめ。冒頭ご紹介した通り、お花の贈り物は貰い手のお手入れの負担にならないことが大切です。プリザーブドフラワーは特殊な加工によって枯れることがなく、お水を不要とするお花で、花瓶に生ける必要がなくそのまま飾ることができます。アレンジメントは籠などの容器の中に給水フォームにお花を挿して、かわいく飾り付けされているもので、こちらも花瓶などに生け直す必要がありません。ただ、アレンジメントは生のお花であり、お水は必要となるので、衛生面で持ち込みができない病院もあるようなので、確認してから贈るようにしましょう。
花束もかわいらしく人気の贈り物ですが、花瓶の準備が必要であったり、2日に1回程度水替えの手間が発生するので、お相手の状況によっては負担に感じてしまうことがあります。状況によって最適なギフトスタイルを選んで贈るようにしましょう。
色はオレンジや黄色のビタミンカラーが定番
お見舞いのお花で特にこだわりがない場合はオレンジ色や黄色といったビタミンカラーや白を基調にした花を選ぶと明るい雰囲気になります。ビタミンカラーは元気が出て、前向きになる色合いのため、入院している方への贈り物としてはピッタリ。色も落ち着いているのでお部屋の雰囲気にも合いやすいです。夏場だとひまわりを入れると外すこととはないでしょう。
お見舞いの花の相場
お見舞いのお花の相場は選ぶものにもよりますが、3,000円〜5,000円が一般的です。ご友人や同僚といった距離が近い関係性の場合は、3,000円〜5,000円が気を遣わせない金額感とされています。親族の方や目上の方であれば、5,000円以上贈ることもあります。定番のプリザーブドフラワーは生花よりも値段が高価なので、予算と相談した上で決めましょう。
また、値段が高くなるとその分ボリュームが大きくなってしまいます。大きすぎると置き場所に困り、病室で飾ることが難しくなるので、お花以外の品物と合わせて贈ってもよいでしょう。
お見舞いのお花を送る前には下調べを行おう
お見舞いのお花についてご紹介してきました。お花を送る目的は入院されている方を元気づけ、労わること。ただ、マナーやタブーを把握しておかないと相手によっては気分を害してしまったり、不快に感じられることがあります。しっかりと相手のことを考慮して贈ることでお互い嬉しい気持ちになれるので、しっかり下調べしましょう。